はじめに
今回はル・コルビュジエのサヴォア邸についてです。
ル・コルビュジエは近代建築の三大巨匠の一人ですね!日本でもル・コルビュジエの建築群の一つとして国立西洋美術館が世界遺産になったのは皆さんも知ってると思います!!!
そんな彼の作品の中から今回はサヴォア邸について書きたいと思います。
近代建築の始まり「モダニズム建築」について
モダニズム建築は、鉄とガラス、コンクリートなどの工業製品を使って合理的精神のもと、ゴシックやバロック様式の装飾を一蹴し、新しい建築をつくろうという流れです。
無駄な装飾を減らし、白を基調とした四角い建築が多いため「白い箱」「豆腐」と言われたりします。
ル・コルビュジエのサヴォア邸や、ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸、フランク・ロイド・ライトの落水荘などが当てはまります。
新素材の登場
19世紀の産業革命は建築材料にも大きな影響を与えました。鉄の生産によって鉄筋コンクリート造や鉄骨造という構造が可能になり、ガラスが大量生産されるようになりました。これにより開放性、透過性といった壁構造から解放が可能となりました。
- デザインの自由度→構造的な制約からの解放
- 機能性と合理性 →過去の様式からの解放
世界三大巨匠について
この新材料をうまく取り入れたのが世界三大巨匠と呼ばれる
- フランク・ロイド・ライト
- ル・コルビジェ
- ミース・ファン・デル・ローエ
の三人です。
ル・コルビュジエのキーワードは「白と光」
サヴォア邸の基本情報
- 設計者 – ル・コルビュジェ、ピエール・ジャンヌレ
- 依頼主 – ピエール・サヴォア夫妻
- 所在地 – フランス パリ郊外
- 面積 – 10,365㎡
- 年代 – 1929~1931年
- 構造 – 鉄筋コンクリート造
サヴォア邸は近代建築の象徴
20世紀の住宅の最高作品の一つと言われ、フランスの歴史的建築物に指定されている建築物です。
- ピロティ
- 屋上庭園
- 自由な平面
- 自由な立面
- 独立骨組みによる水平連続窓
サヴォア邸はこれら5つをすべて満たした建築です。
1階部分はピロティになっています。車がそのまま1周出来るように設計されています。
これは駐車スペースを家の中に作った最初の建築でもあります。
ピロティという考え方があったからこそ、生まれたものです。
玄関周りはガラス張りになっています。これはコルビジェがパリのカフェをイメージしたとされています。
玄関を入ると螺旋階段とスロープの2つのアプローチがあります。
このスロープをコルビジェは「建築を楽しむ散策路」といっています。
2階の窓は特徴的な横長窓。これこそ水平連続窓ですね。
この窓の開けにより、解放的な空間を生み出すことが出来ています。
またテラス側には大きな窓があり、自然の光を多く中に取り入れる設計がなされています。
この光の取り入れ方はコルビジェの目標である「光で室内を演出する」ということの現れであり、「人は光の陰影を見ると呼吸を合わせる」「光は生活、呼吸をつくる」とコルビジェは言っています。
3階には屋上庭園とサンルームがあり、家の中に居ながら自然に囲まれ、感じることが出来ます。また屋上庭園は外からは見えないように設計されており、プライバシーが確保されるようになっています。
構造的特徴
ドミノシステム
「ドミノシステム」はコルビジェが提唱した住宅建設の規格化生産方法です。ドミノシステムは3つの要素で構成されています。
- 鉄筋コンクリート造の床(水平スラブ)
- 床を支える柱
- 上下階を結ぶ階段
という最小限の要素で構成されたシステムです。これは住宅を大量生産するために考案されました。
このドミノシステムは床と柱、そして階段で構成するため壁を自由にすることが出来ました。
これはモダニズム以前の石造建築では考えられなかったことです。
これにより、水平連続窓などが完成します。
ル・コルビジェの建築
- ユニテ・ダビタシオン
- ロンシャンの礼拝堂
- ラ・トゥーレット修道院
- 国立西洋美術館
など数多くの貴重で価値ある建築を設計しています。
国立西洋美術について
国立西洋美術館はコルビジェが考える「無限成長美術館」を下図にして建てられた3つある美術感のうちの1つです。
国立西洋美術館はモデルの「四角い螺旋(スクエア・スパイラル)ギャラリー」の基本構成に忠実に設計された建物となっています。
ピロティ、中にあるスロープ、随所に見られた外の光を取り入れる工夫などコルビュジエの設計のポイントを見ることができます。
しかし、自然光は美術品にとっては敵です。そのためコルビジェの良さが全てが喜ばれるものではないということも分かります。
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